2008/03/12 19:40

最近農薬についての本を3冊読みました。
一つは食品別農薬残留量の統計書。
一つは農薬成分別毒性辞典。
もう一つが農薬に対する誤解を解こうとする本。

それぞれに立ち位置が違う本です。
何事もそうですが、一方向から物事を見ていては正しい結論は得られません。僕は理屈に合わない話は嫌いなのでこれからいろいろ調べていこうと思います。

カエサルが「人間は自分が見たいと思うことしか見ようとしない」と言ったそうですが、昨今の報道や消費者の言動を見聞きしていると、実に恣意的な物が多くて、うっかりしていると流されてしまいそうです。
もちろん僕にも「こうであって欲しい」という思いがあるので、完全に中立では考えられませんが、それでも理屈っぽく考えていきたいと思っています。

いきなり私見になりますが、かねがね農薬がまるで邪悪な存在であるかのように思っている人があまりに多い事に疑問を持っていました。
世界の人口が爆発的に増えているのに豊かな食生活を維持できるのは、間違いなく農薬と機械と品種改良のおかげです。世界にはまだ飢餓に苦しんでいる人が大勢います。
かつて日本にも大飢饉が何度も訪れました。その頃は鎖国をしていて食糧自給率100%で、農業者人口は全人口の8割に達していたそうです。現在の日本は農業者人口の割合は逆転して、なおかつ高齢化した農業者が、何倍もの人々の為の食料を生産しています。それでも自給率は39%。

以前「タイ米騒動」がありましたね。あの時も随分農政に対する批判がおこりました。
日本の食料自給率が低い事が危ういのは、いろいろな理由がありますが、そのひとつにやはり異常気象の恐怖があるでしょう。バイオ燃料やオーストラリアの干ばつの例を出すまでもなく、現在の穀物の高騰は世界中の畜産農家の死活問題になっています。
そして日本の未来を考えたとき、日本の国力はいずれBRICS諸国に追い越されることは間違いありません。
そうなると為替レートは相対的に弱体化し、現在のように鉄鉱石を仕入れて車を売って食料を買うという様な事は出来なくなります。
よく企業が生産拠点を移して、国内の産業の空洞化が問題になりますが、日本のように原料を供給できない国はただでさえ不利なのに、企業が国際化し、発展途上国が成長してくればもはや太刀打ちする術はありません。
技術は容易に盗まれてしまいますが、資源の取り合いは戦争です。イラク戦争はまさに石油の為の戦争でした。

日本は矛盾だらけの国ですね。アメリカの傘の下にいるから今の繁栄を享受できているのに、事あるごとに反発する。
欧米先進国がたどったように、産業革命→植民地獲得→資源獲得→農業生産や工業生産を海外移転し資本による支配をして重労働から解放された繁栄を享受する、という道をたどらなくては待っているのは没落です。「技術立国」「モノづくりニッポン」も聞こえはいいですが、アメリカの腕力があってこそ実現できる事です。中国のパクリテーマパークが話題になりましたが、情報や技術が盗まれても腕力がなければ取られっぱなしです。

長い歴史の中で、「永遠の都」と呼ばれたローマも絶頂から滑り落ちました。現在のアメリカと共通しているのは防衛線を本国から遠ざけて、本国は軍隊の出撃地と資源の消費地になっているということです。日本は現在、アメリカ帝国の重要な橋頭保の役割を担っているのです。ローマは「敗者を同化する」という思想で繁栄した帝国です。まさに日本はローマ時代のアルメニア王国です(対パルティア王国の橋頭保。君主が親ローマか親パルティアかで中東の勢力図が一変した)
たとえこの先世界がどう変動しても、せめて食糧が自給できていれば、堅実な社会を維持できるのではないでしょうか? 軍事力に関してはわかりませんが。

三代目Dは貧乏なので三食「一汁一菜」で、肉も魚も滅多に食べ(れ)ません。(自給率は80%くらいで、無農薬野菜使用率は85%くらいです。スーパーに売っている野菜は無農薬の野菜なんてほとんどないでしょう。)でもかえって心身ともにスッキリ感が増していて、「精進料理」や「マクロビオティック」って本当かもと思い始めました。
今の日本は分を超えた奇妙な豊かさを持った社会になっているような気がします。もう少し地に足をつけていかなくてはいけないのではないでしょうか。

農薬の話から随分飛躍してしまいました。次回から農薬の話の詳細に移りたいと思います。