氷の世界 | Home | 「我が家の味大集合」
2008/01/31 21:39 | 印刷

薬物が混入した原因が特定できていないので、何とも言えないのですが、報道によるとごく一部の商品に高濃度の農薬残留があったようだということで、野菜からの残留農薬ではなく、加工過程以降の混入である可能性が現時点では高いようですね。

報道後、ますます中国製品や農薬に対する恐怖感が日本の消費者のなかに募るのはもはや避けられないでしょう。事件の規模からしても大変に恐ろしい事件です。

いくつかの報道を見ましたが、昨今の中国の大型の食品工場は日本の食品工場と遜色ない設備を持っているとの事。そんな中でもこんな事になるというのは驚きでした。

しかしほかの報道では、中国のキュウリ農家を訪ねて使っている農薬や畑の様子を映していましたが、「6種類の農薬を使っている事」「キュウリの葉っぱに農薬が付着している事」とさも恐ろしげに報道していたのには一農家として驚きました。
農家のブログとしてこんな事を書くのはタブーなのかもしれませんが、この中国のキュウリ農家の報道をした番組製作者は消費者心理をいたずらに煽る意図があるのか、それとも無知なのか。いずれにしてもマスコミの恐ろしさを感じます。

なぜならば、まず第一に写真に写された6種類の農薬がどんな農薬なのかが説明されていない。日本でもホームセンターに行けば数十種類の農薬が購入できます。その中には殺虫剤もあって、中には有機リン系のものや毒劇物もあります。農家じゃなくても庭や菜園に農薬や除草剤を使っている人は大勢いるし、ゴキブリ用の殺虫スプレーだって立派に強力な殺虫剤です。
キュウリ・トマトなどの果菜類やリンゴやナシなどの果樹類は特に農薬を必要とする作物で、慣行栽培では相当な量の農薬を使用します。日本でも慣行栽培の農家ではキュウリに6種類以上の農薬を使うのは珍しくありません。むしろ少ないくらいではないでしょうか。果樹では10種類を超える事も珍しいことではありません。
その農薬の中には葉に色が着くものもたくさんあります。だからと言ってそれが毒性の強いものであるという因果関係はありません。
以前長期の農業体験に来た人が農薬散布の見学をして「もう私は果物を食べたいとは思えない」と言って帰って行かれたことがありました。僕も食品加工工場でアルバイトをした時「もうこの会社の製品は食べる気がしない」などと思ったものです。家畜の屠殺現場を見ればしばらく肉が食べれなくなる人は多いのではないでしょうか?

ではなぜ農家は農薬を使うのか。
それは現代の豊かな食生活を支えるためです。
コンビニで24時間弁当が買えるようにする為には、ファミレスで24時間定食が食べられるようにする為には、スーパーで一年中野菜を豊富に安く品ぞろえをする為には、原料である農産物は旬に関わらず生産し、競ってコストを下げる必要があります。
そのために農家は農薬を使って確実に見た目の良いものを大量に作らなければ、市場で売った際に、再生産するための資金や生活費を稼ぎ出すことが出来ないからです。
農業が楽に稼げる仕事であれば、農業者の高齢化や農地の荒廃なんて起こらないわけです。僕も僕の周りの農家さんもギリッギリの綱渡りのような生活をしている人や農業だけでは食べていけない人たちばかりです。農薬を使わずに作物が全滅したり、安くなってしまえば、倒産してしまうこともあるのです。だから農薬をその身で浴びながら、金と手間暇かけて体を壊しながら農薬をまくわけです。楽をしたいわけではないのです。それはきっと中国の農家も同じです。

ひのき農園もなんとか3年持ちました。
農薬も年々減らしています。90パーセント以上の野菜は無農薬です。ですが、昨年は幾種類もの野菜が、無農薬であるがゆえに壊滅し、見た目の悪さゆえに売れ残りました。無農薬を貫く二代目と経営の為に慣行栽培作物も取り入れようとする三代目Dの間で、今まで辛い軋轢が何度もありました。

TVの報道を見たり、消費者の方と話していると「じゃあお前がやってみろ!」と言いたくなる時も多々あります。無農薬や有機栽培の方が必ずしも野菜がおいしいわけではありません。
一農家として世間に訴えたいのは、現代の便利で豊かな生活を支えるために奴隷のように働いている人たちが大勢いるという事。そして農薬を農薬と一括りにせず、その中身をしっかり検証して欲しいということ(農薬の使い方と言ってもその成分や散布倍率散布回数や散布量、散布方法や環境や気候による残留性の違いなどいろんな要素がある。また飲んでも死なない農薬もあるが、飲んだら死ぬ天然素材もたくさんある。これが農薬取締法と有機JAS法が常に改正されていく所以)。そして一番は「一家に一畑」持ちましょう! という事。自分の子供と一緒に畑で遊びませんか? 究極の安心安全はそれ以外にないのではないかと思います。小さな市民農園でも十分です。僕が農業を始めるきっかけになったのは、市民農園で初めて作ったミニトマトの味に感動したことでした。

TVでグルメ番組や大食い番組を見るたびに、「世の中おかしくなっちまったなあ」とぼやく今日この頃です。

三代目Dクン、素晴らしい意見です!!!
私も視聴者の立場だけで観ていたら確実に「農薬は怖いもの」ということのみ植え付けられてました。今は実際に自分たちが巨峰を手がけているだけに、農薬は「体に毒」だけの話じゃすまされません。消費者は、ものすごく「見た目」にこだわります。産直をやっていると、贈答用は味以上に見た目が立派なものを要望されます。私たちからすれば、どれも同じように手間隙と愛情をかけて育てたものなのに。でも。消費者の気持ちもよ~くわかります。それには本当に、農薬散布が不可欠。果樹はとくに、無農薬にしたくても病気を防ぐ為に農薬は欠かせません。農薬も使い方を守れば安全なのに。。。
信用は一度失うと、取り戻すのはとてつもなく大変ですね。今回の中国の件で、私自身も中国製品をはじめ冷凍食品までもそういった目で見てしまいます。
ひのき農園の野菜たちは、三代目Dクンがいるから
安心して購入できますね!
すずきさん!
果樹園は病気や虫が発生すると近隣の園にも影響してしまうので神経を使いますよね。農薬を減らしたくても出来ない事情はたくさんあります。
産直という顔の見える農業は、すばらしい可能性を持っていますよね。これからも頑張っていきましょう!
毎日のテレビのニュースでは、「食べないでください」という食品の多さ!
安心して買い物ができませんね。
農家は、一部分の不祥事報道の被害者です。
冷凍食品の売り上げは三分の一に落ち込んだそうです。
日本の農業の信頼を失わないためにも、わが家はいっそうの努力をします!
のっぺさん!
お互い顔の見える野菜を作る農家として、これからも生産者と消費者の距離を縮めてゆきましょう!
僕も限界まで頑張ります!

コメント追加

タイトル
名前
E-mail
Webサイト
本文
情報保存 する  しない
  • 情報保存をすると次回からお名前等を入力する手間が省けます。
  • E-mailは公開されません - このエントリーの新規コメント通知が必要なら記入します。