2009/05/29 5:45
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橋本典久 箸 『2階で子どもを走らせるなっ! ―近隣トラブルは感情公害―』 (光文社新書)
「子どもの騒ぐ声がうるさい!」「犬の鳴き声がうるさい!」
そんな「騒音」にまつわる近隣トラブルを解決するには?
アパートやマンションなどの集合住宅に住んでいる方、
とくに2階以上のフロアに住んでいる方には
おすすめの本です。
子どもの足音や公園の噴水で遊ぶ声が「騒音」と見なされる。そんな時代が到来した。
事は、騒音だけではない。自分の感覚を脅かす者への過敏な反応、過剰な防衛、そして相手への過激な攻撃......。近隣トラブルはなぜ激増しているのか? いつから、何を理由にギスギスした世の中になってしまったのか?
音環境工学の専門家で近隣トラブル解決センターの設立運動に携わる著者が、キレる隣人への対応策を根本から考え、平穏な暮らしを取り戻すための処方箋を提示する。
(出版社/著者からの内容紹介より)
この本の「まえがき」にはTVのワイドショーで話題になった
奈良県平群町の「騒音おばさん」のことが触れられています。
「困った人がいるものだ」(-_-;)という論調で
おばさんの異様さだけを強調して伝える
一方的な内容の報道に
筆者はおばさん側の言い分を聞かないのは
「不公平では?」と違和感を覚えたそうです。
本書は(仮名)を用いたショートストーリーと
筆者の解説の組み合わせで、
近隣トラブルの実態と
その背景となる社会の変化や
対処法として望まれる
「近隣トラブル解決センター」の必要性が
語られています。
途中、ここまでの「まとめ」をつくるなど
“みんなにわかりやすく”という工夫がみられ、
著者の熱意が感じられます。
が、
時折出てくる「オヤジギャグ」がどうにも寒い……(T_T)
“オヤジギャグ”に過敏な人は
注意して読んでください(笑)
それはともかく、(^_^;)
騒音についての分析に
音環境工学の専門家らしい
興味深い指摘がいくつもありました。
著者によると一般的に騒音と言われる
うるさいと感じる音には
実は「騒音」と「煩音(はんおん)」の
2種類があるそうです。
騒音……生理的に不快に感じる音
煩音……心理的に不快に感じる音
「煩音(はんおん)」は、特別な音ではなく
日常生活にありふれた音でもあるようです。
健康上の問題や家庭の問題など
聞く人が置かれている状況・背景によって
耐えられない音が異なるとか。
(たしかに、寝込んでいるときに「キツイなぁ…」という音はあるかも?)
工事現場の重機の音など
明らかに納得できる場合と異なり、
子どものさわぐ声や犬の鳴き声など、
苦情を言われた方も「なぜ?」と思うことも。
そのため、対応をまちがえると
お互いが「自分が被害者だ」と思うケースが多く、
泥沼の結末になりやすいとか…(゜_゜;)
第一章では、マンションの下の階の住人が
上の階の子どもが遊ぶ音がうるさいと
苦情を申し立て、お互いの関係がこじれ、
ついには訴訟問題に発展するまでの経緯が
具体的に書かれています。
裁判に勝っても、あとに残ったものは…
とても他人事とは思えない、
なかなかリアルに怖い話になっています。
立ち読みするなら、まずこのストーリーを
すすめます(← どういうオススメだ…(^_^;) )
地域社会の崩壊、近年の日本人を覆う不安心理、
社会的セーフティネットの不備が
近隣トラブルの解決を難しくしています。
Amazonの評価は賛否両論ですが、
泥沼の結末にならないために「話し合い」の場を設け、
両者の仲介をする「近隣トラブル解決センター」の
設立が重要である
という筆者の意見はもっともなものであり、
自分たちの問題として近隣トラブルの本質を
考えさせる興味深い本だ、と私は思いました。
投稿者 : 伊左衛門
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