物語「オリーブの木を育てよう」② | Home | 2020-169
2020/08/16 11:13 | 印刷

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「私の体には、今まで一度もオリーブの木が植えられたことはなかった。
しかし、きのう、2本、私の体にオリーブの木の苗が植えられたのだ。
カモメよ、しばらく様子を見てきてくれないか?」

「いいですよ。
ここに来るには、船に乗らないと来れません。
どんな人間が植えたのか見てきますよ」

カモメは、この島の『心』に言った。

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港から島まで1時間。
1日数便。
いつ来るかわからない「オリーブの木の苗を運ぶ人」をカモメは港で待った。
遠くへ飛行できないから、港の上をぐるぐると回った。
せっかくだから、飛び方をあれこれ変えて時間を過ごした。
すると下方から「あっ!かもめのジョナサン!」と呼ぶ声がした。
カモメはうれしくて、もう「ひとひねり」して飛んでみせた。

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カモメは飛びながら、他のカモメが話していたことを思い出した。

昔、「いもうとのトシ」と呼ばれたカモメがいたこと。
最近、漁師でも島人でもない乗客が、船から手を伸ばしてカモメを「おとうと」と呼んだことを。

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いつでも、すぐに、長距離飛行ができるように、カモメは、鍛えた。
氣持ちと羽を鍛えた。
他のカモメは、その様子を見守った。
そして、いつも以上に船に近づいて船内を見た。

ついに、その日がきた。
「オリーブの木の苗を運ぶ人」が来た。
カモメは氣づけるだろうか?

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「オリーブの木の苗を運ぶ人」は、港の大きな3階建ての建物に入った。
カモメは、3階のマスターデッキから、海を見ていた。
出港のアナウンス。
カモメは、下方を注意深く見わたした。
島へ行く船に向かって歩く数人。
カモメは、じっと、見つめた。
漁師でも島人でもない・・・
50センチほどの小さな木を持った人を見つけた。
カモメは、出港と同時に飛び立つと決めた。
スタートダッシュをかける体勢に入った。

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カモメは、羽を空気の層に乗せた。
そして、一度、力を抜き、目線を目標に合わせた。
「出港します」
「オリーブの木の苗を運ぶ人」は、袋から、小さなお地蔵さまを取り出した。
「あんなとこ、こんなとこ、ずう〜っと一緒。いいべ、いいべ〜〜♪♫」
小さな声で海を見ながら歌った。
カモメは、スピードを落とさず、船を追い越した。
「オリーブの木の苗を運ぶ人」は、カモメの飛行に歓声をあげた。

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カモメは、まっすぐ、まっすぐ、島に向かって飛んだ。
飛びながら、昔を思い出した。
2年前、大きな波がきたこと。
港の近くのショッピングモール。
港からのびる「シオーモの小径」。
小さな島、大きな島、風景が泣いたことを。

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船は、島に着くまでに、2つ他の島へ寄る。
・・・・
「もし、そこで、下船してしまったら?」
・・・・
どこからか聞こえた。

カモメは、目線を島からはずさずに言った。
「次は、違う高さから探してみるよ」

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YouTube 「オリーブの木を育てよう」
作詞作編曲  伊藤心太郎さん
https://www.youtube.com/watch?v=kC-bS8r2x6g


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