2020/03/25 9:00

"カエル君"こと、松本電気鉄道5000形電車(元東京急行電鉄5000系)は、昭和61年(1986年)に導入され平成12年(2000年)まで上高地線で活躍した車両です。引退後はモハ5005-クハ5006号の1編成2両が新村車両所に留置されていました。第一線を退いた後も、東急時代のカラーの復刻(2011年)や各種イベントの開催などで注目を集める存在でしたが、ここ数年は車体の老朽化から、その処遇が検討されていました。
5000形電車そのものは、デビューした1950年代当時の新機軸がふんだんに盛り込まれており、電車の発達、日本の鉄道の歴史上でも重要な存在といえます。しかしながら、既に製造から半世紀が経過しており、雨漏りがすること、断熱材として使用されているアスベストの除去費用などが嵩むこと、留置場所の新村車両所のスペースに余裕がないこともあり、現状のままでの保存は難しいことが予想されました。
2019年には「解体か譲渡か」の新聞報道もあり、上高地線や5000形に少なからず関わりがある筆者個人も気にかかっていたのですが、同年、アルピコ交通から長野県外の法人への譲渡が決まりました。弊通信では、2020年3月23日(月)に実施された、新村車両所での搬出の様子を3回に分けてご紹介します。(掲載写真は許可を受けて撮影しました。)
鉄道車両の輸送は、既存の鉄道路線を利用するもの(いわゆる甲種輸送)・船舶による輸送・トレーラーなどによる陸送の3つに大別されます。上高地線の場合は、現在JR線と線路がつながっていないこともあり、今回はトレーラーによる陸送となりました。写真は、車体と台車を切り離し、クレーン2台で陸送用の台車に載せ替える様子を写したものです。なお昭和61年の東急電鉄からの譲渡の際は、甲種輸送であったため、陸送はカエル自身にとっても初の体験です。
車体の積み込みを終えたトレーラーが待機場所に移動します。大型クレーン車などの車両がひしめきあい、もちろん鉄道施設もある、決してスペースに余裕があるといえない中を、バックですんなりと抜けてゆきました。

電車が踏切を渡ります。

はじめての公道を数十メートル走り、新村駅南の待機場所に無事到着。この日は寒の戻りの肌寒い一日で、午前中は雲の多い天気でした。これがお昼過ぎになると雲が取れ、北アルプスの山々が姿を現しました。カエル君にとっても慣れ親しんだであろう、信州の山々とも今日限りでお別れです。

2020/03/18 19:09

アルピコグループは長野県を拠点に運輸、観光サービス、小売事業を展開する企業グループです。その中核企業であるアルピコ交通の前身、筑摩鐵道の創立(1920年3月25日)から100年を迎える今年は「100周年イヤー」として様々な企画が展開されます。公式サイトの特設ページもオープン。100周年をPRするロゴマークも紹介されています。

このロゴマークは、上高地線を走る3000形電車にも掲示されていました。3月25日からは100周年企画第1弾として「創立100周年記念『上高地線全駅入場券限定販売』」が予定されています。
新型コロナウイルスの影響もあり、イベントの延期・中止・自粛が続く最中ですが、来年、再来年の上高地線開業・全通100周年に向けて、ファンの立場からも盛り上げを図ってゆきたいものです。

2020/03/15 21:30

2020年3月15日は松本市長選挙の投開票日でした。今回は現職で4期16年市長を務めた菅谷昭氏が引退を表明。新人6名が出馬しました。筆者は松本市民ではなく投票権も持たないのですが、今回の選挙には非常に関心がありました。この記事を書いている時点(15日21時)では、前回に続き2度目の出馬となる臥雲義尚氏が当選確実との報道が出ています。
選挙期間中の3月13日。上高地線新村駅前で、この臥雲義尚氏の青空演説会が行われていました。ちなみに通常の選挙活動は、日中は選挙カーによる遊説、夜に各地区の公民館などで集会、という形を採ることが多いそうです。新型コロナウイルスの対策で、氏は握手の代わりに、参加した市民、サポーターのみなさんと拳を作ってのグータッチ。通称、ガウンタッチと言うそうです。なお、明治期にガラ紡などを開発した発明家臥雲辰致(がうんたっち)は氏の曽祖父に当たります。

ミニ情報はさておき、市民になったつもりでその演説を聞くなかで幾つかのキーワードが印象に残りました。「住民主体のまちづくり」「地区同士の競争」「市内35地区が輝く松本市」このフレーズ、聞こえは良いのですが、穿った見方をすれば、地域の課題に対し行政任せの意識が強い、自分達でまちづくりに対するアクションを起こせない地区は、臥雲市政の下で取り残される、と取ることもできます。フルサービスからセルフサービス型の市政へ。コンパクトシティがブームとなる中で、市役所を分散配置するのは、そういったねらいもあるのではないでしょうか。
親鳥の帰りを待つだけだった雛鳥が、巣から羽ばたくには何が必要でしょうか。地域が羽ばたくために、どんな人がどんなツールーそれは外からもたらされるものではなく、地域の中にあるーを用いて、これから動き出すのでしょうか。臥雲氏はバスの公設民営化についても言及しており、上高地線についてもこの5年の間で何らかの変化が訪れることは確実です。

2020/03/11 19:31

連日報道が続く新型コロナウイルス。3月に入り、感染拡大策としての、臨時休校やイベント開催中止が相次ぐなど、その影響を目にする場面が日に日に増えてきています。不要不急の外出や公共交通機関の利用を控えるようにとの報道もあり、上高地線も空席が目立ちます。
お客様の急激な減少に伴い、火・水・金曜日に運行される「上高地線あんしん電車」も通常のワンマン列車として運行する措置が取られています。また毎年3月下旬に開催される「上高地線ふるさと鉄道まつり」についても、無期限の延期が発表されています。
来月4月には、上高地ゆきのバスも運行を開始しますが、仮にその時点まで中国・韓国からの入国制限が継続された場合、外国からのお客様の数も減少。長期に渡って影響が出ることも考えられます。
経験したことのない、先の見えない状況に、筆者自身もつい疲弊してしまうのですが、駅でのグッズや記念乗車券の購入(3月11日現在、2並び乗車券はまだ若干在庫があるようです。)など、少しでも増収に繋がるアクションをしてゆきたいと思います。
硬券乗車券や入場券、軟券、補充券、上高地線わくわくフリー乗車券など、コレクション用のきっぷ の購入もこの機会に是非お願いします!

2020/02/28 17:29

地元松本を拠点とするJチーム松本山雅FC。アルピコグループはそのオフィシャルスポンサーとなっています。グループの中核であるアルピコ交通でも上高地線電車1編成に、シーズン中、同チームを応援するヘッドマークを掲出しています。この取り組みは2012年からはじまったもので、毎年異なるデザインのヘッドマークが制作されるのも一つの楽しみです。写真は下新駅付近で撮影したものです。
今年のヘッドマークは、2020年のチームスローガンである「One Soul 捲土雷鳥」の文字とチームカラーがあしらわれています。昨シーズンは2度目のJ1挑戦と降格、長年チームを引っ張ってきた反町監督の辞任とショックな話題の多いシーズンでした。今シーズンも、新型コロナウイルスの影響もあり、試合日程が変更されるなど波乱含みのスタート。引き続き地元のチームを応援してゆきましょう。

2020/02/20 21:47

上高地線の新村駅舎の横には、2017年に解体された旧駅舎の装飾の一部がモニュメントとして残されています。本日(2月20日)筆者はその前を通りかかったのですが、どうも様子がこれまでと異なります。塗装を塗り替えたのでしょうか。
近寄って見てみましょう。この装飾は、もともと旧駅舎の車寄せに取り付けられていたもので、木製なのですが、明らかに違う素材に代わっています。
木製の装飾の上にカバーを取り付けたのか、はたまたレプリカを新たに制作したのか、素人目には判断がつきません。

ただ、以前から弊通信でお伝えしている通り、西日が照らすこの場所は装飾の劣化が進む可能性がありました。それが改善されたことはひと安心といえそうです。願わくば、筑摩鐵道の社紋が入った鬼瓦も、然るべき場所での展示が望まれます。

2020/02/18 12:48

午後の日射しを浴びて新村-三溝間を走る上高地線電車です。背後には北アルプス北部の鹿島槍ヶ岳、白馬岳の姿もみえます。これらは登山家・文筆家の深田久弥が『日本百名山』で紹介し登山者にも人気の高い山々ですが、ここ新村地区では20座をみることができます。
歩いて新村駅へと戻ります。アルピコ交通の前身である筑摩鐵道は大正9年3月20日、つまり今から100年前に、ここ新村の地で創立されました。会社設立の翌年には松本=新村間の工事が竣工し、電車の運行がはじまります。
初代社長を務めた上条信(しん/まこと)は新村出身の政治家・実業家です。筑摩鐵道の創立は、現在の西部地域の交通の近代化と、日本アルプス・上高地の開発を目的としており、現在の地域の姿を形づくった人物のひとりともいえるでしょう。新村駅近くには、業績を讃える記念碑があります。

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2020/02/16 20:20

昨年に増して暖かい今年の冬。2月に入ってようやく松本でも降雪を観測しましたが、その2日後に沿線を訪ねるとすっかり雪は溶けていました。日陰になるところなら...と思って、新島々寄りの沿線まで足を伸ばしてみましたが、こちらもうっすらと残っている程度でした。
新島々駅前。昨年はこの時期でも、白骨温泉や乗鞍高原スキー場を目指す、外国からのお客様の姿を見かけたのですが今年はひっそり静まり返っています。やはり例の感染症の影響でしょうか。長引けば、今シーズンの上高地の入山数にも響きそうです。
こちらは渕東付近。ひなたは早くも春のようです。ところで、冬の時期の上高地線電車といえば、車体が茶色くなりがち(雪と混じり合った鉄粉が車体に付着するため)なのですが、写真の3007-3008号車の車体側面は白いまま。そんなことからも今シーズンの雪の少なさが伺えます。
お昼はとく兵衛さんでかも汁そばをいただきました。奥さんとも雪の話題になり「前の冬もそうだったけれど、今年は余計に雪が少ないですね...」「スキー場なども困っているようですし」「夏は水不足にならないか心配」と思わずため息。

2020/02/05 15:18

三回目となる「上電×北鉄×アルピコ スタンプラリー」が開催されています。これは群馬県を走る上毛電鉄の支援団体「上毛電鉄友の会」様の主催によるものです。いずれも、もと京王帝都電鉄3000系が走る縁から、アルピコ交通も参加しています。2020年3月31日までの期間中は開催をお知らせするヘッドマークが電車1編成に掲出されます。
アルピコ交通では、波田駅・新島々駅の2箇所にスタンプが設置されています。駅窓口で専用のスタンプラリー 台紙を配布し参加することができます。訪問した路線と集めたスタンプ数に応じて、抽選でオリジナルグッズが当たるそうです。台紙の配布数は500枚(アルピコ交通配布分)参加してみてはいかがでしょうか。

2020/01/29 21:55

渚駅から乗車した電車を3駅先の下新駅で降ります。ログハウス風の駅舎は1997年に建てられたもので、同駅周辺の沿線から見える北アルプスの山並みをイメージしたデザインなのだそう。現在は、平日の朝の時間帯のみ委託営業があります。トイレが改修されており洋式になっていました。
さて、実際の沿線から見える山並みです。北は信濃富士とも呼ばれる有明山、南は北アルプスの女王常念岳。間に蝶ヶ岳、燕岳などこの平人々にとっては馴染みの深い山々が並びます。モハ10型リバイバルカラー列車がやってきました。
同じ列車でもう1カット。西の方角をみると一面雪に覆われた乗鞍岳が顔を覗かせていました。最も標高が高い剣ヶ峰は海抜3097m.その麓の乗鞍高原には上高地線の終点新島々からバスが出ています。筆者は上高地線を"山ゆき電車"と呼んでいますが、乗鞍岳はその姿が車内からもよく見える点に於いて、大いにそのムードを盛り上げて呉れる存在といえます。
そうやって写真を撮っていると後方から何やらじっとこちらを見つめる視線を感じました。振り向いてみるとそこに居たのは一頭の白ヤギ。2020年代にあって、なおも牧歌的な雰囲気の漂う上高地線沿線です。