2018/05/12 7:34

上高地線沿線は新緑の季節。この日は雨が上がるのを見計らって、波田駅から歩いてみました。駅から渕東方面へ200mほどのところにある第4種踏切のそばで待っていると、リバイバルカラー列車がやってきました。坂の少し上からは小水力発電のために設けられた水車のバタンバタンという音が聞こえてきます。

線路沿いの小径にはツツジが植えられています。旧波田町の花。現在も波田地区のまちのあちこちで見ることができます。写真の左手崖下には中学校があるのですが、部活動でしょうかスポーツをする生徒のたち声が聞こえてきました。

波田堰に沿って歩いてみます。取水口は赤松地区にあり、総延長は23km、灌漑面積は300haに及びます。現代の波田地区は下原すいかに代表される農業のまちですが、それは明治7年に通水したこの堰の存在が大きく関わっているそうです。こうして水辺をただ歩くだけでも良いのですが、案内板の類があっても良いのかな、と筆者はここを歩くたびに思います。

渕東側に出ると線路の両脇に田んぼが広がっています。先ほどの波田堰はカメラをもう少し左手に振った一段高い所を通っているので、この田んぼもその水によって満たされているのでしょう。筆者のように現代に生きる者がこうして水鏡のある美しい風景を写真に収めることができるのも、こうした先人の存在があってのことです。


(歩いた日:平成30年5月9日)

2018/05/10 14:04

平成29年度の上高地線の述べ乗客数は168万人9587人でした。その前の平成28年度の168万8308人と比較すると0.1%の微増です。ここ10年のうちで一番小さな増減ですが、信州DCが天候不順により不調であったことを思うと健闘しました。
今回のトピックは過去微増、または減少傾向にあった定期外利用が大きく伸びていることです。具体的な数字を上げると60万2387人で平成28年度の58万664人から2万1723人の増加です。一方、定期利用(通勤・通学)が108万7200人で、平成28年度の110万7644人より2万444人減少していることは気掛かりです。この理由について詳しく数字をみてみることにしました。

続きを読む...

2018/05/08 8:55

新村から三溝にかけての上高地線沿線には、線路の両脇に田畑が広がっています。ここは年によってコメ、そば、大豆など作付けされる作物が変わるのですが、今年は田んぼに水が張られていました。風が出ていたので水鏡はちょっと厳しいかな...と思いつつ電車を待っていると、やってきたのはリバイバルカラー。早いもので、この色になってからもうすぐ1年。
線路の北側も今年は田んぼになるようです。屋敷林の向こう側からなぎさTRAINが姿を現しました。水鏡は潔く諦めて引きで撮影。冬の間鉄粉で茶色く汚れていた電車は5月の連休を前に綺麗に掃除されました。写真映えしますね。

続きを読む...

2018/05/02 17:56

上高地バスターミナルや河童橋のある場所から1時間ほど歩いたところが明神地区です。河童橋を起点とし徳沢園まで歩くウォーキングコースとしてはほぼ中間地点、梓川の右岸・左岸が明神橋で結ばれていることからも、休憩地点となっています。写真は明神館前からみた様子です。徳沢を越えて横尾、そしてそれぞれの山を目指す登山者の姿も見られます。
明神橋に向かって歩きます。穂高神社奥宮の参道にも当たる道の両脇で枝を伸ばすのはハルニレの木。ハルニレ=エルムと聞いて筆者は北海道をイメージするのですが、決して少なくない倒木に、同地並みに厳しい上高地の冬を思います。
そんなハルニレの足元、地面には緑が広がり、白い花がぽつぽつと咲いていました。ニリンソウです。上高地の春を告げる代表的な花としてよく紹介されるものです。このニリンソウに隠れて、有毒のハシリドコロの姿もありました。
ハルニレの林を抜けると梓川の岸に出ます。ここに架かる明神橋の向こうにドンと聳えるのが明神岳。5峰あるこの山ですが、ここから見えるのは最南峰と二二六三峰です。現在の上高地公園線と国道158号線が整備されるまで、上高地入りのメインルートは徳本峠(とくごうとうげ)を越えでした。上高地に入ってはじめて対面するこの荒々しい岩山に、昔の人は圧倒されたことでしょう。
そんな上高地へはアルピコ交通上高地線の電車とバスで1時間30分余り。松本から上高地バスターミナルまでは片道2450円、往復4550円です(往復きっぷは7日間有効です。)
詳しい情報はアルピコ交通公式サイトをご覧ください。

2018/04/27 21:05

河童橋から明神地区へと向かいました。明神地区は梓川に沿って3kmほど上流にあります。右岸道、左岸道の二つのルートがありますが、今回は長い方の右岸道を歩いてみました。まずは河童橋を渡り、ホテル白樺荘さんの横手側からみた山々の様子。真っ白な穂高連邦の右手がこれから向かう明神地区のシンボル明神岳です。最も高い主峰の標高は海抜2931m。

林の中を10分ほど進むと木道がはじまり、ほどなくして岳沢湿原に出ます。ゆるやかに広がる水の流れの中に枯れた立木。向こうに見えるのは六百山...だと思います。断定できないのは、観光地によくある案内・解説板がないためです。国立公園内ということもあって規制があるのでしょう。上高地を楽しむポイントとして留意したい事柄です。


岳沢湿原に別れを告げると道は再び林の中へ。熊笹が両脇に生い茂る中を進みます。山側からは何本もの沢が流れ込んでおり、透明度は極めて高く、水量も豊かな雪解け水が勢い良く流れる様を何度も見かけました。

なお、この右岸道の山側には自動車も通行可能な治山林道があります。クルマが通れるということでこちらが歩きやすいと入り込む人もいるそうですが、公式の案内では歩行者の通行が禁じられています。それもその筈、この日は大型のダンプカーを何度かみかけました。
右岸道の終点に近づくと再び木道がはじまります。足元には梓川の支流。ところで、上高地の林内には幹の途中で折れたり、根元から倒れたりしている樹木をみかけることがあります。これは冬季の強風によるものとのこと。いま筆者がみている美しい景色も厳しい自然の賜物といえるでしょう。

【おまけ】

上高地線電車では鋳物製のブレーキシューを使用しており、冬季はそこからでた鉄粉で車体が茶色く汚れてしまいます。(参考写真)本格的な山のシーズンまでには掃除が行われます。綺麗になった上高地線電車(とバス)で是非上高地へお出かけください。

上高地地区への電車・バス時刻表はこちらをご参照ください。



2018/04/22 11:36

この日は上高地探勝に於ける定番中の定番、河童橋を訪れました。梓川に架かる幅3.1m.全長36.6m.の吊り橋で、現在のものは平成9年に架け替えられたもの。吊り橋になってからは5代目になるそうです。芥川龍之介の小説『河童』に登場すると各種案内には紹介されていますが、文学碑が見当たらないのは、その中身が痛烈な社会風刺であるためでしょうか。
上高地を紹介する記事では、下流側から穂高連峰をバックに撮影したものが多くみられます。しかし筆者は上流側から見た焼岳を望む景色が気に入りました。大正4年の噴火の際に、噴石が梓川をせき止め、大正池をつくったこの山。今もなお活火山としての活動が続いており、南峰には立ち入ることができません。
それにしても、聞こえるのは外国の言葉ばかりです。事前に人に聞いたり電車のお客様の傾向を見ていたりで分かっていたつもりですが、圧倒されてしまいました。橋のたもとに写真屋さんが立っていたのですが、その呼び込みも最初に中国語、あとから日本語といった具合でした。
この河童橋から5分ほどのところにあるのが上高地バスターミナルです。アルピコ交通の路線バスやさわやか信州号が発着しています。筆者が訪れた際は、ちょうど新島々ゆきが停まっていました。上高地へのバス乗り入れは、昭和8年、前身である松本自動車が上高地大正池まで開通して以来ですからもう85年の歴史となります。
松本方面、新島々ゆきと乗鞍高原ゆきのバスを利用する際に気を付けたいのが「整理券」制度。これは乗車券と共に必要で、利用する便のものを事前に発行する必要があります。整理券は写真の乗車券売り場にて発行しています。

この整理券、利用者の立場からすると「いったい何のために?」と以前から疑問に感じていたのですが、バスを利用されるお客様の数を把握するために実施しているそうです。なおこの整理券、沢渡、中ノ湯へのシャトルバスでは必要ありません。はじめて訪れる方は少々戸惑うかもしれません。

2018/04/17 20:14

4月17日は県道上高地公園線の開通日です。上高地は標高五千尺余り、今では年間120万人余りが訪れる山の景勝地です。上高地線の前身、筑摩電氣鐵道が発行したパンフレットには"美しき河原、清冽の流れ、柳の緑陰。目前、直後に聳立する山は太古の儘に斧鉞も知らず、仰げば雲煙の徂徠あり"と紹介されています。写真は本日の大正池付近の様子。先の文句が誇張でないことは明らかです。
そんな上高地へは、新島々よりアルピコ交通の路線バスで一時間余りです。運行初日となる17日も朝から山を目指すお客様の姿がみられました。ただ平日ということもあって、日本人は少なく、多くは海外からのお客様でした。上高地の観光開発を目指して筑摩鐵道(→筑摩電氣鐵道)が創立されてから今年で98年。古来からの美しい風景はもとより、近現代の開発の歴史や文化的側面からみたこの地について、今年は探ってゆきたいと思います。

2018/04/16 12:17

このところ「上高地線の新しい〜」と称する記事が続いていますが、今回は電車の行き先を示す方向幕の話題です。この4月より新しいデザインのものが使われています。今回のデザイン変更は2011年の4月以来のこと。1999年の3000形電車デビュー後は3度目となります。写真は方向幕が変更された後のリバイバルカラー列車。第881回で紹介した窓ステッカーの貼り付けもあり、少し印象が変わりましたね!
今回から使用がはじまったデザインです。上高地線ではワンマン運転を実施していますが、今回7年ぶりに表記が復活しました。ところで、過去の方向幕には、松本・新島々の他に回送・団体・快速新島々・快速松本のコマがありました。快速松本は既に運転されていないため、それどうなったのか...現地でお確かめください。

※今春の"快速 新島々"ゆき列車の運行は4月28日・5月3日の予定です。
詳しくはアルピコ交通公式サイトをご覧ください。


おまけ
過去の方向幕のデザインもご覧ください。今回のものはこの2案を折衷したものともいえそうですね。


デザインの話になると、どうしても気になるのが使われている書体のことです。欧文はHelvetica(Neue?)と思われますが、和文表記の書体は全く見当がつきません。この丸ゴシックはいったい...。

2018/04/13 12:33

案内人がきっぷの販売や乗降のお手伝いをする「上高地線あんしん電車」の運行がはじまりました。今年度は水曜日も実施されることになり、火・水・金曜日の週3日に拡大しています。なお案内人が乗車する電車の時刻について変更はありません。写真は松本13:28発新島々ゆき。行き先の横に小さく「あんしん」と表示されています。
※火曜日・水曜日・金曜日実施。祝日の場合は通常のワンマン運転となります。
詳しくはアルピコ交通公式サイトをご覧ください。

続きを読む...

2018/04/11 12:49


上高地線沿線の桜情報です。松本市街地に近いところは半分以上散ってしまいましたが、標高が少し高い波田地区ではまだまだ見頃です。写真は波田駅近くにあるゆずりあいの道を渕東方面へ行ったところ。線路のそばに枝ぶりの良いシダレ桜が一本ありました。2018年4月10日午後3時頃の撮影。


万葉の小径に続く山道からは画面いっぱいの桜とその下を走る電車を捉えることができます。この場所には何度か来て撮影しているのですが、いつもなぎさTRAINですね。2018年4月10日午後2時頃の撮影。

渕東駅の桜も。まだ花の咲いていない枝もあるのですがいつもと比べて樹に勢いがあるように思われます。4日から定期検査で新村車両所に入っていたリバイバルカラーもこの日は運用入り。この色になってから、はじめての春を迎えます。

2018/04/09 12:15

その①上高地線を走る3000形電車にドアステッカーが貼り付けられました。これまでもドアガラス部分には「入口」「締切」などカッティングシートによる表示がありましたがそれを改めた形となります。写真は車内から見た様子。従来の加え、出口の場所、全扉が開閉する駅の案内が情報として追加されています。
外からみた様子。全14駅中7駅が無人駅、また係員のいない時間帯のある駅が多い上高地線では、締切となる扉もあります。以前は余り乗り慣れていないお客様が締切の扉の前で待っている...という光景も目にすることがあったのですが、表示が変わったことにより改善されるのではないでしょうか。
その②新島々方の運転室後ろに鉄道車両用非常脱出ハシゴが備え付けられました。列車の運行中に災害や事故が発生し、駅と駅の間などでお客様の降車が必要となった場合に使われます。こういったものが使われる機会がないのが一番ですが。
小ネタ:一時姿を消していた「井上友の会」の広告ですがモハ10形リバイバルカラー列車(3003+3004編成)でしれっと復活していました。以前のステッカーではなくカバーをかける形のものですが、どうやら先代の5000形時代に使われていたもののようです。いったいどこからでてきたのでしょう...。

2018/04/07 21:04

例年になく早い桜の便りが聞かれる今年の春ですが、上高地線の沿線についても今週月曜日に開花、この週末には既に見頃を迎えています。余りの早さに慌てて沿線に出かけてみました。まずはしだれ桜で有名な波田の安養寺さんへ。水鏡に映る花の姿で知られるここですが、普段よりも早い花のペースに急遽田んぼに水を入れて対応したようです。
こちらは西松本駅近くの田川の河原の様子。松本市街地は既に散り始めています。来週4月14日には松本市の主催で「さくらノーマイカーデー」の開催が予定されていますが、それまでには完全に散ってしまいそう...素敵な企画だと思うのですが、こればかりは担当された方に同情せざるを得ません...。
新島々駅の様子もご覧ください。普段は市街地や安養寺の桜よりもワンテンポ遅いここですが、既に見頃を迎えていました。この日(4/7)は寒の戻りで風びゅうびゅう、みぞれも舞うような天気でしたので来週の中頃までは花を楽しめるのではないでしょうか。春の上高地線へ是非お越しください。

2018/04/05 8:31

森口から更に東進し三溝と新村の間にある田園地帯に出ました。背後に美ヶ原を望む場所で築堤を上がってくるリバイバルカラー列車を捉えます。1月にもここと同じ場所で同じ列車を撮っているのですが、ぼんやりとしたこの空気。やっぱり春ですね。

上り電車も後追いで。屋敷林のある風景の中を松本へ向かって走ります。屋敷林というと安曇野のものが有名ですが、梓川を南側へ越えたここ新村地区でもみられます。撮影後、新村駅方面へ歩いて行くとトラクターが入って田おこしがはじまった畑もありました。やっぱり春ですね。(2回目)

新村駅へ。待合室には桜(造花ですが)が飾られていました。その向こうには鳥瞰図が。上高地線の前身、筑摩電氣鐵道島々線の開業後に発行されたパンフレット『アルプス登山と筑摩電氣鐵道』に掲載されていたものを複写したものです。鳥瞰図は大正から昭和初期にかけて各地で制作されますが、その中でも吉田初三郎は現在も人気があります。筑摩電氣鐵道のものはその弟子に当たり、当時売れっ子であった金子常光に依頼したものです。ご覧の際は、当時の関係者の意気込みが感じていただければ幸いです。

2018/04/02 10:59

下島駅で電車を降りて森口駅方面へ歩いてみました。両駅のほぼ中間地点、旧宮地鉄工所の前には新しい従属信号機が建てられていました。この先森口駅方面に向けて線路は左にカーブし見通しがきかないためでしょうか。近年宅地化が著しいこの沿線ですが。ここにきてまた桃畑だったところが掘り起こされていました。

森口駅へ。ここには26台のパーク&ライド駐車場がありますが、そのうちの10台は昨年のいつごろからか事前予約制のB-Timesになっています。アルピコ交通の公式サイトにも特に案内がないのですが、案内板や駅で配布しているチラシを見る限りは上高地などへ行くお客様をターゲットにしたもののようです。

現地に建てられている案内板。B-Timesの公式サイトをみると利用料金は1日200円、決済はクレジットカードのみとなっています。また利用には利用者登録が必要となります。Timesは時間貸駐車場サービスを展開している事業者ですが、このB-Timesは駐車場シェアリングサービスと紹介されています。どちらかといえば、駐車場用地の確保が難しい大都市部で普及が進んでいるサービスのようです。

森口駅は上高地線内で唯一相対式ホームのある駅です。いまは日に2回、11:03と13:03に上下線の電車の交換風景をみることができます。写真は駅の東側にある歩行者専用の踏切から。現在の構内踏切は駅の西側ですが、昔の写真を見るとかつてはこちら側に構内踏切があったようです。

2018/03/31 20:29

引き続き、上高地線は奈良井川のほとりから。電車の側面にも日が当たるようになる10時台を狙って右岸側に立ちました。いうまでもなくここは昔からの有名な撮影スポットですが、近頃人気なのは常念岳・横通岳をコンパクトにまとめたこの構図。リバイバルカラー列車がやってきました。
振り向いてもう一枚。一見何の変哲もない写真ですが、いまから半世紀ほど前、この一帯には貨物ヤードがありました。この写真でいえば線路の南側、道路と住宅があるところに、1本あたり延長100〜300mほど、5本も線路が引かれていたそうです。当時のことを覚えていらっしゃる方はいまどの位いるのでしょうか。
奈良井川を渡って島立地区へ。線路の南側からは、さきほどの常念岳・横通岳に加え大滝山が見えました。道端で電車を待つ間にウォーキングをする方を何人も見掛けました。さきほど撮った電車が今度は新島々へ向けて走ってゆきます。