2020/05/12 20:20

上高地線を運行するアルピコ交通は、松本と首都圏・中京圏・京阪神を結ぶ高速バス、松本をはじめとする県内各市街地・近郊エリアを結ぶ路線バスを運行しています。このうち、高速バスについては緊急事態宣言を受け4月中旬より運休が続いています。また観光路線である新島々=上高地間のバスについても現在は全便が運休。5月16日(土)より1日3往復の特別ダイヤが発表されています。
こうした中で5月11日、松本市内と近郊を結ぶ路線バスの減便が発表されました。路線バスについては、鉄道と同様に緊急自体宣言下であっても運行継続が求められていました。これはアルピコ交通に限った話ではありませんが、地方都市の路線バスはそれ単体で収益を上げることが難しく、高速バスや貸切バスの運行で得た収益を補填することで運行を継続している側面もあります。その高速バス・貸切バスが運行できないことがいま、大きな痛手となっています。

上高地線についても、4月は定期収入(定期券等の販売額)が前年比の54.0%・定期外(普通乗車券等)の収入が前年比の20%と大幅に収入が落ち込んでいます。今回のコロナ禍の下では赤字となること(※1)はもとより、事業者としての運行継続も危ぶまれる状況です。


こうした路線バス・上高地線の状況について、松本市の臥雲義尚市長は5月11日の定例会見で触れ「生活の足である公共交通の維持のため、松本市として支援を行う」考えを示しました。支援の具体的な内容、額については今後、関係各所で話し合いが持たれる見込みです。臥雲氏は今年春の市長選でも路線バスの公設民営化を公約として掲げており、公共交通の維持に向けた公費投入について前向きな姿勢を示していました。今回のコロナ禍を受けた支援が、公設民営化の布石になるのか、今後注目してゆきたい点です。

公設民営化とは、公共交通の運行に必要な車両・施設等を自治体の保有とし、交通事業者の負担軽減と運行の維持継続を目指すものです。国内では富山市が先進事例として知られています。例えば、写真のセントラムは、富山市が平成21年に購入したもので、運行は富山地方鉄道が行っています。

※1 上高地線のここ10年の営業係数は90前後と黒字が続いていました。全国の8割の鉄軌道事業者が赤字(営業係数が100以上)となる中で健闘しているといえます。ただ、鉄道やバスのような公共性の高い事業の必要性を黒字/赤字で判断してきた従来の考え方についても、この機会に見直されるべきではないかと筆者は考えます。