第1002回:さようならカエル君〜5000形電車の旅立ち⑴ | Home | 第1004回:さようなら カエル君!5000形電車の旅立ち⑶
2020/03/26 8:36 | 印刷

午後には新島々方の先頭車モハ5005号車の車体の積み込みが行われました。なお、今回保存が決まったモハ5005+クハ5006の東急時代の車番は、それぞれデハ5055+デハ5048でした。デハ5048が昭和33年12月、デハ5055が昭和34年10月にそれぞれ竣工しています。このうちデハ5055はデハ5000形式のラストナンバーに当たります。
東京急行電鉄5000系電車は昭和29年(1954年)から昭和34年(1959年)にかけて105両が製造されました。東急線上での活躍の後、全国の地方私鉄に譲渡され、現在も熊本電鉄の1両、長野電鉄の2両が現存しています。譲渡に当たっては各線に合わせた改造が実施されましたが、写真のモハ5005については、下回りも含め製造時の機器がそのまま使われ、結果として原型を最も良く残す最後の1両となりました。
車体が無事積み込まれたところで、縁の下の力持ち、台車をみてみましょう。正式には「TS301」といい5000系のために設計されたものです。ところで、5000系が登場する以前の電車は、吊り掛け駆動(モーターと車軸をギアで接続し電車を動かす方法)が主流でしたが、重量が嵩むことと、走行時の音が大きいことがネックでした。
5000系電車はこれを解消するために、モーターと車軸に取り付けられたギアボックスをプロペラシャフトで接続する「カルダン駆動」を採用。これにより軽量化と静粛な走行を実現しました。カルダン駆動はスタンダードな駆動装置として現在の電車でも採用されています。このTS301台車以外にも、鉄道技術史上の資料としても貴重な機器類がこの5000形電車には残されています。
朝9時の作業開始から6時間。無事、5005+5006号車2両分の車体・台車・パンタグラフの積み込みが終わりました。鉄道車両の陸送は夜間、交通量の少ない時間に行われるため、待機場所に移動しこのまま夜を待ちます。
ちょうど運転台側が新村車両所の入り口に据え付られました。すぐ側には上高地線の本線。現在の主力3000形電車(元京王帝都電鉄3000系)が走り抜けます。1999年以来、20年以上に渡って続いてきたこの顔合わせも今晩までのあと数回でおしまいです。