第893回:上高地線沿線さんぽ2018夏⑶ | Home | 第895回:新緑の上高地へ⑵
2018/05/19 20:51 | 印刷

この日は早起きをして穂高神社奥宮の明神池に足を運びました。穂高神社奥宮は安曇族の祖神であり、陸・海の交通と日本アルプスの総鎮守である穂高見命(ほたかみのみこと)を祀る神社です。写真は明神池の一ノ池の様子です。二艘の船は10月8日の神事の際に使われます。
明神池は朝靄が出ることで知られていますが、見られるかどうかは運次第。(前日に雨が降るなどして比較的湿度の高い晴れた朝に出ることが多いようです。)果たしてこの日は運良く靄に遭遇することができました。
こちらはニノ池の様子。背後の岩山は明神岳です。もともとこの明神池は明神岳の崩落により川がせき止められてできたものと考えられています。その時のものなのでしょうか、池の中には自然石が点々としその上に木々が枝を伸ばす不思議な光景が広がっています。
『上高地物語』(横山篤実 著)などを読むと、穂高神社奥宮がいつからここにあるのかは定かではないようです。想像するに、はじめてここに足を踏み入れた古代の人々は、この光景に神的なものを見出し、自分たちの神様を祀る場として相応しい場所と考えたのでしょう。近代以前の資料に、神河内、神合地、神降地の表記が見られるのもそれ故のことと考えられます。(ちなみに明神池の拝観の栞には「神降地」と表記されていました。)

なお明神池は穂高神社の社有地(明治時代に県から払い下げを受けている)であり、同神社が管理・整備を行なっています。そのため明神池をみるには拝観料(300円)が必要となります。「他所はタダなのになんでここだけ」と思う向きもありそうですが、例えば大正池は毎年県の事業で浚渫工事が行われていますし、梓川の河原には重機が入っています。もちろん遊歩道を直したりにもお金がかかるわけです。「自然景観は見るだけならタダ」とどうも錯覚しがちですが、上高地に関しては、多くのコストをかけてそれが保たれていることを忘れてはなりません。