2019/12/12 18:58

旧島々駅舎はかつての上高地線の終点島々(1985年廃止)にあったものを、1989年(平成元年)当時の波田町が現在地へ復元したものです。復元後は町の観光案内所として利用され、2010年に町が松本市と合併した後も、観光シーズンの4月~11月にかけて使用されていました。ところが、2015年度、雨漏りがする等の理由で観光案内所は閉鎖、その後使用されることのないまま現在に至っています。
現在は松本市観光温泉課が管理しているこの旧島々駅舎について、2018年9月住民説明会が実施されました。ここで「(旧島々駅舎は)耐震診断をまだ行っておらず、現状のままでは使用できない」こと「耐震診断の実施・耐震化の費用を市では負担できない」ことが、松本市から住民側に伝えられました。

これに対し、旧島々駅舎の存続を求める一部住民は「旧島々駅舎保存協会」を立ち上げ、市との折衝に当たってきました。この中で「具体的な活用方法の提案を受けた上で、一般競争入札を経て、売却する」方針が市側から示されました。
旧島々駅舎保存協会による環境整備の様子

筆者は2018年の10月にこの保存協会のメンバーOさんらと偶々知り合い、資料の提供や活用プランの作成など微力ながらお手伝いしてきましたこの活用プランに関しては、色々ない頭を使った果てに「本屋を中心とした複合施設」にする案を作成しました。
さて、問題となるのは資金です。筆者も保存協会のメンバーも20代で先立つものはなし。更に文化施設としての活用は決して収益性の高いものではなく、融資を受けるのも難しい状況でした。そんな時、渡りに船と申しますか、メンバーの知人を通じ「旧島々駅舎を使用したいという方がいる」という連絡があり、早速、お会いしてお話を伺いました。

ところで、保存協会それ自体はメンバーが旧島々駅舎に「一目惚れ」したことからはじまったと言えます。(逆に筑摩鐵道の~と言っていたのは筆者ぐらい) その方も、このエリアで、会社事務所として使用する物件を見て廻っていたところ、旧島々駅舎を発見し「何なんだこのカッコいい建物は!」とその姿に魅せられたそうです。(今の言葉でいえば「エモい」そんな建物も、松本市側からみれば価値がない、お荷物な訳ですが...)
旧島々駅舎が形として残る可能性が高まったことだけでも、メンバーにとっては朗報でしたが、文化施設としての使用にも共感していただき、建物の一部に本屋さんを設ける案に理解を示してくださいました。(そのプランがこちら。供養のために貼っておきます。)

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2019/12/08 23:21

上高地線を運行するアルピコ交通では、平成22年度より鉄道施設の更新を進めてきました。これは安全な運行を確保するためのもので、その費用は鉄道事業者の持ち出し分と、国、県、沿線自治体である松本市の補助によって賄われます。この内、松本市では上高地線を地域の基幹的公共交通機関に定め、通常の補助率に上乗せする形で同線の支援に当たってきました。
更新事業は、老朽化した駅舎の建て替え(新村・森口)のほか、信号や踏切などの保安設備、変電施設や架線柱などの電力関係、レールの交換や道床の厚増など、多岐に渡ります。画像は森口駅の西側にある山形街道踏切。将来の道路拡幅と交通量の増加を見越して、オーバーハング式の警報機が導入されました。例えば、こうした踏切一箇所だけでも1千万円余り、上に挙げた全ての施設を更新するには、22億円余りの費用が掛かっています。
ところで施設更新事業計画には、代替車両の導入も項目として盛り込まれています。現在、上高地線で使用されている3000形電車は、いずれも製造から50年余りが経過しており、近年は故障による運転見合わせなども発生しています。上高地線のような地方の小さな私鉄は、いわゆる大手私鉄で使われていた車両を改造して代替するのが通例となっています。筆者もマニアの端くれですから「あの路線の○○系が...」なんて詮索をしたくもなりますが、発表までもう暫く待つことにいたしましょう。

2019/11/28 10:11

今年もあとひと月余り。上高地線ではこの時期恒例のオリジナルカレンダーの配布がはじまりました。今回もB4版裏表カラーのリバーシブル。配布場所は上高地線の新村・波田・新島々など各駅のほか、アルピコ交通が出店する各イベントでも配布されます。限定1500部。なくなり次第終了です。
もう片面は上高地線電車の写真が印刷されています。弊通信の読者のみなさまならお気づきの通り、今回は筆者が撮影した写真を採用していただきました。来たる2020年にアルピコ交通株式会社は創立100周年を迎えます。(前身となる筑摩鐵道は1920年に創立されました。)良い年にしてゆきたいですね。

2019/11/19 10:43

上高地も閉山(11月15日)し、上高地線沿線の秋もいよいよ終わりが近づいてきました。この日は西松本駅から沿線さんぽをスタート。まずは駅そばの田川鉄橋を渡る電車と、うっすら冠雪した北アルプスの山々の風景をお届けします。
ところで、この場所は上高地線の電車と日本百名山のひとつ「槍ヶ岳」(3180m.)を写すことのできる数少ない場所です。松本駅からこの西松本駅付近のごくごく僅かな間ですが、常念岳の左手にチョンと突き出たその穂先をみることができます。車内からも見ることができますので、ご乗車の際はよくよく目を凝らしてみてください。
先ほどの電車が折り返し新島々ゆきとしてやってきました。この場所は以前、アルピコプラザ(アルピコ交通松本バスターミナル)が電車のバックに見えていたのですが、大手チェーンのホテル(建物を見れば一目瞭然ですね)の工事がはじまり、あれよあれよという間に見えなくなってしまいました。

2019/11/16 9:52

上高地線新島々駅の改札内に自動券売機が2台設置されました。同駅は上高地線電車から、上高地・乗鞍高原・白骨温泉方面バスへ乗り継ぐお客様が多く、特に夏季のハイシーズンは窓口(画像右手)前にきっぷを買い求めるお客様の長い行列ができることがありました。
券売機はグローリー社製のVT-T20シリーズでタッチパネル式です。前述の上高地・乗鞍高原・白骨温泉行きのバス乗車券のほか、上高地線一日わくわくフリー乗車券も購入することができます。また日本語の他、英語、中国語(繋体字・簡体字)韓国語の表示にも対応しています。
この券売機では「ICカード処理連絡票」の発行も行っています。Suica、Pasmoなど、ICカード乗車券で松本までJR線を利用し、そのまま上高地線に乗り換えた場合は、この処理票を受け取り後日JR線の駅で精算処理が必要となります。

なお、アルピコ交通では松本と上高地・乗鞍・白骨温泉方面を往復するお客様に向けて、割引乗車券を販売しています。この往復割引乗車券はこの券売機でも販売しており、JR線から上高地線電車に直接乗り換えた場合は、窓口に並ぶことなく購入することができます。
一方、この往復割引乗車券は松本駅の券売機でも販売していますが、実際には同駅松本〜新島々間のきっぷを購入し、新島々駅で差額精算するお客様が多いそうです。この場合は従来通り、窓口での対応となります。こうしたお客様のケース毎にご案内・誘導をしていくことは、来年に向けての検討課題となりそうです。

2019/11/08 17:13

この日は波田駅から沿線さんぽをはじめました。まずは線路際の”ゆずりあいの道”を渕東駅方面へ。余り高低差を感じさせない上高地線ですが、線路が河岸段丘を斜めに横切るここはちょっとした勾配になっています。木々がほんのり色づくなか、やってきた松本ゆき上り列車はモハ10型リバイバルカラーでした。
更に渕東駅方面へと進みます。線路の両側に広がる田んぼはほとんどが刈り入れ・はざかけを終えていました。ただ今年は紅葉が遅れているらしく、背後の山々は濃い緑色のままです。
渕東駅に到着。駅のそばにあるりんご畑では赤いりんごが実っていました。今年の沿線さんぽでは、この場所に度々足を運んで、定点観測をしていたものですから、無事に収穫期を迎えたことを嬉しく思います。

2019/11/01 20:03

先の10月1日より上高地線の新しい企画乗車券『上高地線わくわく一日フリー乗車券』の販売がはじまりました。販売当日の上高地線(松本〜新島々)の全列車・全駅で何度でも乗り降りできます。
また、このきっぷを上高地線沿線の提携店舗や施設で提示すると、割引などの特典が受けられます。価格は大人1250円・こども400円です。(2020年3月末までの価格です)

販売箇所は、上高地線の直営駅・委託駅・松本駅です。なお松本バスターミナル・電車車内(あんしん電車を除く)では販売していません。また、販売箇所によってきっぷの形状が異なります。ご注意ください。

○新島々・波田駅→駅の券売機での発券②
○森口・新村・北新松本大学前・下新駅→駅窓口にて発券①
○松本駅→上高地線用の券売機での発券③

2019/10/25 21:43

現在の上高地線の主力「3000形電車」が運行開始20周年を迎えました。3000形電車はもと京王帝都電鉄井の頭線(当時)の3000系電車で、1999年から2000年にかけて4編成8両が当時の松本電気鉄道に譲渡されたものです。
運行開始日に当たる10月25日には、記念のポストカードの配布が行われました。また、これを記念した「3000形電車運行開始20周年記念乗車券」も10月12日より販売されています。200円区間の乗車券(硬券)10枚を特製台紙にセットしたもので、300セット限定です。
そんな3000形電車の車内の小変化をご紹介。お客様の乗降に使われる各扉に貼られるステッカーにも渕東なぎささんの姿が。上高地線を走る3000形電車は両開きのドアとなっており、写真の敬礼ポーズと、帽子に手の2種類が貼り付けられています。
運転室後ろのステッカーも変更されました。こちらは以前から渕東なぎささんをデザインに採り入れたものが貼り付けられていましたが、今回は今夏より使用が始まった新しい制服姿です。
なおご紹介したステッカーは全て上高地線オリジナルグッズとして販売中です。こちらも新島々駅・波田駅・新村駅(※営業時間7:20-15:50)で取り扱い中です。先にご紹介した「3000形電車運行開始20周年記念乗車券」と併せて、この機会に是非お求めください。

2019/10/23 12:17

なぎさTRAINに「あつめて!全国"鉄道むすめ"巡り」のヘッドマークが掲出されていました。(鉄道むすめについてはこちらから)渕東さんはアルピコ交通のオリジナルキャラクターですが、今年もゲストとして参加しています。スタンプは新島々駅に設置されています。事務所内にありますので、押印の際は駅係員さんにお声掛けください。期間は来年5月末までです。
渕東なぎささんと話題といえばもう一つ。新島々駅に写真のようなコーナーができていました。ようこそ!新島々駅の文字と3種類の渕東なぎささんの等身大パネル。パネルの上部には「バスツアー おいでなして信州」と書かれたヘッドマークが掲げられています。これは声優の新田恵海さん(長野県出身)が参加するツアーに合わせて制作されたもの。これは新田さんが渕東なぎささんのキャラクターボイスを務めていることにちなんだものです。
「なぎさTRAIN」では土休日の日中の列車限定で、渕東なぎささん(C.V新田恵海さん)による車内アナウンスを実施しています。なぎさTRAINの運用情報はアルピコ交通公式サイトバスウォッチャーで公開されいています。お出掛けの参考にされてはいかがでしょうか。この秋も、おいでなして上高地線!

2019/10/20 20:44

10月14日は鉄道の日でした。上高地線では例年この時期に鉄道の日をPRするヘッドマークを掲出しています。今年の絵柄は、今夏デビューしたばかりの「朝陽さくら」さん(長野電鉄)「八木沢まい」さん(上田電鉄)そして「渕東なぎさ」さんの三者揃い踏み。令和最初の鉄道の日に相応しいものとなりました。
さて、この鉄道の日に合わせた新グッズも多数登場しています。写真は「渕東なぎさクリアファイル(新制服ver./旗持ver.)」と「上高地線自由帳」この他にも、アクリルキーホルダーやパスケース、トートバッグなど普段遣いできるグッズがラインナップに加わりました。(詳しくはアルピコ交通公式サイトをご覧ください)いずれも上高地線の新島々駅・波田駅・新村駅で好評販売中です。
ところで鉄道の日を控えた10月12日から13日にかけて、台風19号が長野県に接近しました。県内では記録的な豪雨となり、千曲川をはじめとする河川が氾濫。上田電鉄の鉄橋が流出するなど鉄道にも大きな被害が出ています。幸い上高地線に大きな被害はなく、13日の午前中には運行を再開しました。しかしながら、高速道路・新幹線・JR線が1週間ほど不通であったことから、上高地を訪れるお客様は例年よりも減少しています。上高地閉山まで残り1ヶ月、10月下旬は紅葉もありますが、暫くこの状況は続きそうです。

2019/09/30 18:17

秋の上高地線沿線さんぽ。続いて訪れたのは渕東駅周辺。ホームの向かいには小さなりんご畑があって電車と組み合わせて撮影することができます。この季節らしい雲ひとつないすっきりとした青空。(電車の後方に立っているのは野焼きの煙...ヒヤヒヤしました。)りんごが映えるようになるまでもう少し時間が掛かりそうです。
ワンカットでは満足せず、松本へ向かう電車を後追い撮影。青い空とはちょうど補色関係になるように地表は黄色い稲穂で覆い尽くされ、その上を数え切れないほどのトンボが飛び交っていました。
日を改めて今度は駅の南西側から金松寺山をバックに走る下り列車を撮影。電車のちょうど真上、山の中腹に見える赤い屋根の建物は、山名の由来となった金松寺のものです。
新島々から戻ってきた上り列車は波多神社へ向かう坂の途中から。水を湛えた用水路と、田んぼの隅に立ててあるイノシシ避けが時折カラカラと音を立てる外は、至って静かな渕東の秋です。(訪問日:2019年9月10日・9月14日)

2019/09/21 19:46

秋の上高地線沿線さんぽ。そばの次はやっぱり稲穂を!と足を運んだのは下新から大庭にかけての田園地帯。残念ながら北アルプスの山々は厚い雲に覆われてしまって、その姿をみることは叶いませんでした。頭を大きく垂れた稲穂を横目に松本ゆき電車が軽快に駆け抜けます。
↑↑は午前中に撮影したものですが、この地点(永田踏切附近)では午後の時間帯もこのような構図で下り列車を撮影することができます。見た目はいかにもな秋の風景ですが、この日の松本の最高気温は32℃。日陰のないこの場所でほんの十数分電車を待っていただけなのに、すっかり日焼けしてしまいました...。
歩いて大庭駅へ。同駅には松本市のパークアンドライド駐車場が併設されています。2018年の開設当初は認知度が低く、利用率の低さが指摘されていましたが現在は日に15台前後の利用があるそうです。ただ駐車区画は50台分ありますので、その半分の25台程度にまでは利用を伸ばす必要があるようにも思われます。
駅の待合室には10月1日の消費税率引き上げに伴う、運賃改定のお知らせが掲示されていました。気になったのは「4.一日フリー乗車券について」の項目です。これによると現在の上高地線電車一日フリー乗車券は9月30日を以って販売を終了。10月1日からは新たに「上高地線わくわく一日フリー乗車券」を販売するとのことです。詳しくは公式サイトをご覧ください。

2019/09/15 6:46

9月に入った上高地線沿線。日中は30℃を超える暑い日が続いていますが、秋を感じさせる風物に出会うことはできるのでしょうか。まずは新村から三溝にかけての沿線を歩きます。初夏には一面小麦畑だったここは、そばの白い花が咲くようになりました。
この新村から三溝にかけての上高地線は、東から西へ線路がゆるいS字を描きながら走っています。撮影の際は時間帯や場所を変えて様々な構図を楽しむことも可能です。作例は朝8時台の上り列車を写したもの。そばに対して、稲は既に刈り取りされた箇所が散見されます。
筆者のおすすめは午後、特に正午から14時にかけての時間です。この時間帯は下りが順光となります。やってきたのは松本山雅のヘッドマークをつけた3001-3002編成でした。(歩いた日:2019年9月14日)

2019/08/26 17:35

今回は終点新島々駅のひとつ手前、渕東駅付近の様子から。松本の市街地から走ること30分足らずのここは線路の両脇に田んぼが広がっています。8月下旬のこの日は最高気温も30度に満たない過ごしやすい日。背後の林から聞こえるヒグラシの声を聞きながら電車を待ちます。
1枚目のカットから引きでもう一枚。田んぼはこの画面の両脇にも延々と広がっています。線路の向こう側に緩やかに稜線を伸ばすのは金松寺山。緑の多いこの風景もあと一月ほどで、黄色や橙がかった色彩へと変化してゆきます。
駅に戻って次の松本ゆき電車を待ちます。ホーム上には地域の方が管理する花壇があり、ひまわりとコスモスが一緒に咲いていました。去りゆく夏と、来たる秋の共演です。

2019/08/05 20:36

なかなか空けなかった梅雨も漸く明けて(※今年の関東甲信越の梅雨明けは7月29日でした)上高地は本格的な夏を迎えています。まずは定番河童橋周辺の様子から。平日にも関わらず"上高地銀座"の異名を欲しいままにしています。ただ、昨年訪れた時に比べ外国からのお客様は少ないという印象を受けました。
梓川の左岸に沿って五分ほど歩くと小梨平です。川岸に佇むと先ほどまでの喧騒は遠ざかり、耳には川の音、目には夏の装いの山々が飛び込んできます。写真の焼岳は、8月に空振を伴う小規模な地震を繰り返しており少々そのご機嫌が気になるところ。
この小梨平は上高地に3つある幕営地のひとつです。近年のキャンプブームも手伝って、場内には色とりどりのテントが所狭しと張られています。もう都会は夏休みなのでしょう、若者や家族連れなどで賑わう様を見ることができました。

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