昨日より改正入管法がスタートしましたね。
今回の改正点は、「日本に入国する16歳以上の外国人に原則として指紋採取と顔写真の撮影を義務付ける」というもの。
改正の目的は、「テロリストの入国を防ぐため」とされています。
これについては、各所で賛否が語られています。
もちろん諸外国においても語られていますね。
韓国のとあるメディアは、「外国人を犯罪者予備軍として扱っている。人権侵害だ。」と語っています。
また、別のメディアでは、「テロリストの入国阻止が目的ではなく、外国人の不法滞在取締りが目的だ。」としています。
これについてはちょっと反論。
不法滞在取締りが目的で何か問題でも?ここ日本は法治国家ですよ。不法滞在という法律違反をする者を取り締まって何が悪いの?
もちろん、日本に入国する外国人全てをテロリストだと言ってるわけでもないでしょ。
でも、入国する外国人それぞれをテロリストか否かで区別する方法なんてない。
どっかの大臣さんみたいに、友人の友人がテロリスト集団の一員っていうなら、話は別かもしれないけど・・・。
もちろん、採取した指紋や撮影した写真の取扱いについては細心の注意を払う必要があるのは間違いない。
違法な公権力の行使の温床となってはいけない。
したがって、その点については今後も目を光らせる必要はありますけど。
というわけで、過去に外国人の指紋押捺が問題とされた事例を今日は採り上げてみます。
ちなみに争点となった法律は、入管法ではなく、改正前の外国人登録法です。
平成7年の事例になります。
事件の概要:日本に入国した外国人が新規の外国人登録の申請をした際、
指紋の押捺をしなかったため、外国人登録法(改正前)に
違反するとして起訴。
これに対して、外国人登録法における指紋押捺義務は、
憲法13条及び14条に違反すると主張。
裁判の争点:外国人の指紋押捺制度は憲法13条及び憲法14条に違反するか?
憲法13条:幸福追求権・公共の福祉
すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、
最大の尊重を必要とする。
憲法14条:法の下の平等
全ての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、
社会的身分または門地により、政治的、経済的又は社会的
関係において差別されない。
判例の要旨:指紋は、それ自体では個人の生活や人格、思想、信条、良心等
個人の内心に関する情報となるものではないが、性質上万人
不同性、終始不変性をもつもので、採取された指紋の利用方法
次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される
危険性がある。
このような意味で、指紋の押捺制度は、国民の私生活上の自由と
密接な関連をもつものと考えられる。
憲法13条は、国民の私生活上の自由が国家権力の行使に対して
保護されるべきことを規定していると解されるので、個人の
私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押捺を
強制されない自由を有するものというべきであり、国家機関が
正当な理由もなく指紋の押捺を強制することは、同条の趣旨に
反して許されず、また、右の自由の保障は我が国に在留する
外国人にも等しく及ぶと解される。
しかしながら、右の自由も、国家権力の行使に対して無制限に
保護されるものではなく、公共の福祉のため必要がある場合には、
相当の制限を受けることは、憲法13条に定められているところ
である。
また、外国人登録法における指紋押捺制度は、戸籍制度の無い
外国人の人物特定につき最も確実な制度として制定されたもので、
その立法目的には十分な合理性があり、かつ、必要性も肯定できる。
指紋押捺制度が外国人と日本人を同一の扱いをしておらず、
憲法14条違反にあたるという主張についてであるが、先の理由と
同じく、外国人については戸籍制度がない上に、日本人とは社会的
関係上の差異があるので、その扱いの違いについては合理的根拠も
ある。
つまり、憲法13条にも14条にも違反してないってことですね。
ちなみに、このような判例があるにもかかわらず、外国人登録法における指紋押捺制度は、1999年に撤廃されています。
では、今回入管法において指紋押捺制度が採用されたのは何故なんでしょうね?
なお、昨日一日で指紋押捺の結果、5人の外国人が強制退去となっております。
つまり、入国を許されなかった外国人が5人もいるのです。
しかもそのうち3名は偽造パスポートで入国しようとしていたということ。
指紋押捺制度の是非や指紋押捺を義務付けることが人権侵害になるのか否か?については、まだまだ議論の余地がありそうです。
ところで、もしも我々が外国に入国する際に、指紋押捺を求められたらどう感じるのでしょう?
私は「仕方が無い」と素直に応じます。
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