来る裁判員制度に備えてこんな本はいかがですか?

タイトル:裁判官の爆笑お言葉集
著者:長嶺超輝
メーカー/出版社:幻冬舎新書
メディア:単行本
”爆笑”と言っているけど、そんなに笑える”お言葉”はないような気がします。
”笑える”というよりは、”これ大丈夫?”と感じるもののほうが多いような気がします。
しかし、”考えさせられるお言葉”も結構あります。
本書は、「法」と「人間」の関わりについて裁判官というある種特別な地位にある方の肉声を知ることができる貴重な書だと思います。
では、本書に収められている裁判官の”考えさせられるお言葉”の紹介を一つ。
「死刑はやむを得ないが、私としては、
君には出来るだけ長く生きていてもらいたい。」
これは、抗争相手の組長を殺害するために発砲したが、周りの庶民を巻き添えにしてしまった男に対する判決において、裁判長が語ったものです。
「なんだよ、タイトル通り、笑えるお言葉じゃん。」
そう思われた方もいらっしゃることでしょう。何せ恐ろしく矛盾した”お言葉”ですから。
「死刑だけど、長生きしてくれって?」
しかし、この”お言葉”の続きを聞けば、納得がいきませんか?
その”お言葉”は、
「遺族に謝罪し続けていってください。」
どうでしょう?
裁判官の言いたかったのは、こういうことではないでしょうか?
「あなたの行為は死刑をもって断罪されるものである。しかし、遺族の方々へ何の謝罪もなく、ただ死んでいくことは許されない。あなたは、死刑が執行されるまで遺族への謝罪を続けていきなさい。」
つまり、少しでも遺族の感情に応えるべく残された人生を行きなさい。そして、遺族の悲しみや苦しみや怒りを感じたままこの世を去りなさい。
こんなことを言いたかったのではないでしょうか?
そうすることで、少しでも遺族の感情に裁判官自身も応えたかったのではないでしょうか?
本書にも書いてありますが、「法」というのは基本的には分かりやすく書かれているものです。そうじゃないと、「法」の言う「善と悪」が理解できなくなってしまいますから。
しかし、その一方で「融通が利かない」のも「法」です。
細かい配慮に欠けているってことですね。
つまり、「法」というのは、「○×クイズ」みたいなものです。
そこに人間の感情というのは組み込まれていません。
その味も素っ気も無い「法」に血を通わせようとする裁判官の”お言葉”は、それ自体に法的拘束力がなくても、人間の感情に応えようとするものです。
裁判員制度というものも、私は「法」に血を通わせるための手段であると思いたい。
そんな感情が湧いてくる一冊でした。
最後に、本書に収められている裁判官の”お言葉”で、私が最もグッときた”お言葉”をご紹介。
飲酒運転による交通事故で人の命を奪ってしまった者に対し、判決を言い渡した後に出た”お言葉”です。
「交通事故裁判での、被害者の命の重みは、
駅前で配られるポケットティッシュのように軽い。
遺族の悲嘆に比して、
加害者はあまりにも過保護である。
命の尊さに、法が無慈悲であってはならない。」
多分、この裁判官は飲酒運転による死亡事故における加害者に対する法の裁きが軽すぎると思っているのでしょう。したがって、早い段階での法改正を望むという気持ちを表したのではないでしょうか?
ちなみに、この裁判において裁判官は、求刑懲役2年6ヶ月に対して、懲役3年という「求刑超え判決」をしています。
ほとんどの場合あり得ませんが(検察の面目丸つぶれですからねえ)、
極々稀にあるようです。
この本には、確かに事なかれ主義的発想による
裁判官の言葉も掲載されていますが、裁判官も
血の通った人間なんだなあという気持ちにさせら
れるお言葉も結構掲載されていて楽しめます。
ほろりとするようだったり、
成る程、と感じたり。
裁判官も結構人間臭いんだな、って思いました。
法だけでは裁ききれない人を諭し、
法だけでは救えない人に対しても
可能な限り手を差し伸べる気持ちを
持つ事が大切なのでしょうね。
ニュースを見ていつも思う事…
何故、交通事故の懲役はあんなに短いのか?
昔に比べると長くなったみたいだけど
それでも、ちょっと軽く感じます。
コメント追加

裁判官の「肉声」を聞くのは初めてです。
正直、事なかれ主義的な印象があったので意外です。
ちょっと明るい気持ちになりました。