前回に引き続き、外国人の権利に関する訴訟について
語ることにします。
今回は、平成5年の最高裁の判例です。
事件の概要:イギリス国籍を有するAさんは、日本人女性と
結婚したことにより、在留資格認定における
永住許可を受けている。
ある時、Aさんは衆議院議員選挙に際して、
選挙人名簿への登録を申請したところ、Aさんは
日本国籍を有していないことを理由に、登録を
拒否されました。
Aさんは、選挙管理委員会のとった”登録拒否”
という措置は憲法に違反するとして提訴。
裁判の争点:永住許可を受けている外国人は、国政選挙の
選挙権を有するのか?
判例の要旨:憲法第3章(国民の権利及び義務)の諸規定に
よる基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民
のみをその対象としていると解されているものを
除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく
及ぶべきものである。
従って、国会議員の選挙権を有する者を日本国民
に限っている公職選挙法の規定は、憲法15条、
14条の規定に違反するものではない。
一見すると、判例の要旨の前半部分と後半部分では矛盾することを語っているようにも見えますね。
しかし、この判例の要旨は詳しく語ると次のようになります。
「憲法で保障されている自由権のうちの入国の自由、参政権や社会権などは、権利の性質上日本国民のみをその対象としているものであると解することができる。
したがって、基本的人権の全てが外国人に保障されているものではない。」
最近では在日外国人の方々への参政権を認めようという動きが出てきています。
外国人への参政権の付与に関して現在の私の心境としましては、賛否を決めかねている。というのが本音です。
ただ、この問題については一つだけ納得できない部分があります。
それは、参政権付与に賛成の方々が語られる参政権を付与すべき理由です。
つまり、”納税”しているのだから参政権を与えられるのは当然だ。というものです。
これは日本の選挙制度の歴史を知らないのか、それとも敢えて無視しているのかは分かりませんが、やはり、新しい何かを生み出そうと言うのなら、過去の歴史をしっかりと振り返るところから始めて欲しいと思うのです。
日本の選挙制度の歴史には、選挙権を得るための要件として、”納税”があったことがありました。しかし、1925年(多分?)にそれまでの衆議院議員選挙制度が改正され、”納税の義務”の要件が撤廃されました。
つまり、参政権と納税は関係が切り離されたのです。
したがって、”納税してるのだから参政権を付与せよ!”は理由付けとしてはイマイチな気がします。
もちろん、参政権付与に反対している方々の意見もイマイチな部分がありますけどねえ。
追記:憲法14条と15条の一部を抜粋しておきます。
憲法14条「法の下の平等」
すべて国民は、法の下に平等であって、
人種、信条、性別、社会的身分又は
門地により、政治的、経済的又は社会的
関係において、差別されない。
憲法15条「公務員の選定罷免権・公務員の性質・
普通選挙・秘密選挙の保障」
公務員を選定し、及びこれを罷免することは
国民固有の権利である。
確かに安曇野や松本だけではなく、長野県内は外国人の方々が多いですね。
特に南信地方にはブラジルを筆頭に外国人の方が多いですね。
外国人の地方議会議員選挙への参政権に関する最高裁の判例もありましたね。
その判例では、永住者で、その居住する区域の地方公共団体と特段密接な関係を持つに至ったと認められる者に対して、地方議会への参政権を与えることは憲法上禁止しているわけではない。
って感じでしたが、日本では実現しにくいでしょうね。
ヒロ様が目指されている試験からすれば、私の知識はとても浅いものです。
まあ、お暇がありましたらまたお読み下さい。
コメント追加

穂高に来て意外だな、と思ったのは、外国人の方が意外と多かったことです。穂高の役所にも外国人登録の窓口がありましたし、147号沿いにはブラジルの物品を扱う店がありました。今ではもう、働く場所がありさえすれば、外国人の方も普通に日本で生活しているように思います。
僕は、個人的には、地方参政権については外国人に参政権を付与すべきだと考えています。「国民主権」と切り離すことの出来ない国政と比べて、「住民自治」の要請が働く地方自治においては、その施策を決めるに当たって住民の声を聞くことが不可欠だと思うからです。
日本ではまだまだ実現しそうにないですが。
それと、納税は仰るとおり、あまり説得的な理由にはならないですよね。日本国籍を持つ者であっても、所得によっては殆ど納税していない者もいる訳ですから、「納税しているから参政権を与えよ」では「納税していないから日本国籍者でも参政権を剥奪せよ」となってしまう可能性もあります。
それでは失礼します。
「憲法談義」今後も期待しております。