カシアス・クレイになれなかった男。

タイトル:一瞬の夏
作者:沢木耕太郎
出版社/メーカー:新潮文庫
メディア:文庫本
悲運の天才ボクサー、カシアス内藤の再起。そして、それに関わった人達の太くて短い夏の話。沢木氏渾身のノンフィクション作品。
みなさんは、カシアス内藤と言うボクサーがいたことをご存知でしょうか?彼は黒人と日本人の間に生まれたハーフで、本名は内藤純一。スピードを武器にしたサウスポー・スタイルのボクサーでした。デビュー15戦目若干19歳にして無敗のまま日本タイトルを奪取しました。その後、東洋チャンピオンにまでなった天才ボクサー。
しかし、その東洋チャンピオンの座は、直ぐに柳済斗に奪われてしまいます。その後再び日本チャンピオンになりましたが、王座防衛戦に破れ、その後はひたすら負け続けました。
「一瞬の夏」は、そんな連戦連敗状態であった内藤が再び東洋チャンピオンに挑戦するまでの軌跡を綴った作品です。
そして、内藤の再挑戦を支えた人達の物語でもあるのです。
内藤戦のプロモーターにまでなった沢木氏、名トレーナーのエディ・タウンゼント、内藤の写真を撮り続けるカメラマン、そして水商売をしながら内藤を支える妻。
「臆病」、「練習嫌い」なボクサーがどうやって再挑戦するのか?
そして何故彼の周りの人達があそこまで、内藤の再挑戦を支えたのか?まさに「一瞬の夏」の出来事のような話。
ところで、カシアス・クレイはご存知ですか?元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリのことです。
内藤はカシアスというリングネームは嫌いだったそうです。
そう、つまり内藤は「クレイになれなかった」のではなく、「クレイにはなりたくなかった」のです。
ちんけな小説よりも、内藤の人生は小説みたいな物語です。
その内藤の人生を少しだけ覗いて見てください。
上下2冊ありますが、あっという間に読み終えることができる内容だと思います。
現在、内藤はがんと戦いながら、自分のボクシングジムを開いて会長として活動しています。
ハーフの子として生まれてからは人種差別と戦い、リングに上がるまでは自分自身と戦い、リングに上がればもちろん相手と戦い、今はがんと戦っている。彼の人生はまさに戦いであるのかもしれません。
私は彼のように戦い続けることはできないでしょう。
ただ、”譲れない何か”を持ちたいとは思っています。
*谷村新司がアリス時代に創った名曲「チャンピオン」は内藤をモデルにして作ったそうです。
E&Jカシアス・ボクシングジム
(↑内藤のジムのHPです。)
本日の夏の唄

GIPSY KINGS /VOLARE
ジプシー・キングスのベスト。
ここに収録されている”夏の唄”は、「ボラーレ」。
伸びやかなヴォーカルとアコスティック・ギターが魅力。
夏にぴったりなサウンドです。
コメント追加

心が沈んでいる時に車の中で聞くと元気がでます
カシアス内藤さんが「チャンピオン」の歌のモデルだったんですね
ボクシングといえば「明日のジョー」の矢吹丈と丹下段平の関係を思い起こします
肉体を酷使する格闘技ですがメンタル面がもっと厳しいように感じます